【フォルクスワーゲン Tiguan ティグアン】客観的データに基づく総合評価

Tiguanはこんなユーザーにおすすめ

  • 【夜間の住宅街や見通しの悪い交差点を頻繁に走行するドライバー】:日本のJNCAPおよび欧州のEuro NCAPなどで、昼夜の歩行者や自転車、交差点での対向車検知機能が極めて高く評価されており、自転車の飛び出しや右直事故防止に優れているため。
  • 【水害リスクのある地域に住んでいる、または頻繁に移動するユーザー】:豪州のANCAPおよびEuro NCAPのテストで水没時の脱出性能が確認されており、車両の電源喪失後も約2分間はドアや窓が開閉可能であることが証明されているため。
  • 【小さな子供を後部座席に乗せて移動することが多い親】:ANCAPおよびEuro NCAPにおいて、車内に子供が残されていることを検知して警告する「子供置き去り検知機能(CPD)」が装備されていることや、チャイルドシートの設置性が高く評価されているため。

各国の厳しいテストからわかるTiguanの「強み」

フォルクスワーゲン Tiguanの最大の強みは、最新の予防安全性能(自動ブレーキ等の支援システム)が極めて優秀である点です。日本のJNCAPでは予防安全性能で「ランクA(97%)」の高評価を獲得しています。昼夜を問わず歩行者や自転車を正確に検知し、交差点での右直事故(対向車や横断歩行者との衝突)を防ぐ自動ブレーキシステムが非常に高く評価されました。また、日本の駐車場などで多いペダル踏み間違い時加速抑制装置も機能し、障害物(車両)だけでなく歩行者に対しても作動することが実証されています。

欧州(Euro NCAP)や豪州(ANCAP)のテストでは、降車時に後ろから接近する自転車を検知してドアを開けてしまう事故(いわゆるドアパンチ)を防ぐ降車時警告機能(Dooring prevention)が搭載されており、日常の市街地での利用に非常に有益です。また、豪州テストなどで確認された水没時の脱出性能も見逃せません。万が一車両が水没して電源を喪失しても、ドアのロック解除やパワーウィンドウの操作が一定時間可能であることが確認されています。さらに、車内に子供が残されていることを検知して警告する機能(子供置き去り検知機能)も搭載されており、ファミリー層に安心の機能が備わっています。

衝突時の車体強度に関しても、米国のIIHSによる厳しいスモールオーバーラップ衝突(車体の前部隅への局所的な激しい衝突)において、運転席・助手席ともに最高評価の「Good」を獲得し、前席の乗員空間がしっかりと守られることが証明されています。

自動車安全性能2025試験映像:フォルクスワーゲン Tiguan

出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)

購入前に知っておくべきVW Tiguanの「注意点と弱点」

非常に安全性の高いTiguanですが、各国のテストデータからはいくつか明確な弱点も浮かび上がっています。

まず最も注意すべきは、後部座席の乗員保護性能です。米国のIIHSが行った最新の前面衝突テスト(モデレートオーバーラップ)において、後部座席のダミー人形の腰を固定するシートベルトが腹部へとずり上がり、肩ベルトが首に向かって過剰に移動する現象が確認されました。これにより、後席乗員の腹部や胸部、頭・首への傷害リスクが高まるとされ、同テストの総合評価は最低の「Poor(不可)」となっています。欧州(Euro NCAP)および豪州(ANCAP)の前面衝突テスト(フル幅)でも同様に、後席ダミーの骨盤がシートベルトの下に潜り込む現象(サブマリニング現象)が確認され、骨盤の保護性能が「Poor」と判定されています。後部座席に大人や大きな子供を乗せる機会が多い方は、この特性を十分に理解しておく必要があります。

次に、追突された際の首への負担(むち打ちリスク)です。日本のJNCAPによる後面衝突頸部保護性能試験において、運転席・助手席ともに首への負荷が大きく、5段階評価で最低レベルの「レベル1(得点率36.1%)」にとどまりました。これが日本での衝突安全評価が「Bランク」に留まった最大の要因です。

さらに、欧州および豪州の側面衝突テストにおいて、頭部保護用カーテンエアバッグに約30mmの裂け目が生じるという展開異常が確認されました。これにより、頭部への保護スコアが減点され、「Adequate(妥当)」評価へと引き下げられています。

なお、日本のJNCAPテストでは事故時に自動で通報を行う「事故自動緊急通報装置」がテスト車両において「装備なし」と判定されており、スコアが得られていない点にも留意してください。また、テストされた車両は日本(1.5Lマイルドハイブリッド)、欧州(ディーゼル等)、米国(ガソリン)とパワートレインやトリムに違いがありますが、基本的なボディ構造に起因する安全評価の傾向(後席の弱点など)に大きな差はありません。

編集長の視点:Tiguan

同クラスのミドルサイズSUV、トヨタ・RAV4やスバル・フォレスターと並べてみると、VW Tiguanの安全性能には興味深い明暗が浮かび上がってくる。センサーフュージョンを駆使した予防安全技術、さらには水没時対応や子供の車内置き去り検知といった、いかにも「今どき」な付加機能の充実ぶりは、このクラスでも間違いなく頭一つ抜けている。ところが後部座席の乗員保護、とりわけ後面衝突時の頸部保護に目を移すと話は変わる。全席均等の安全性を地道に積み上げてきたRAV4やフォレスターの前に、Tiguanはわずかに軍配を譲るようだ。

この評価の分かれ方には、フォルクスワーゲンの屋台骨であるモジュラープラットフォーム「MQB」の設計思想が色濃く影を落としていると見てよさそうだ。IIHSのスモールオーバーラップ試験で示した前席の高い保護性能は、堅牢なキャビン骨格と緻密に計算されたフロントのクラッシャブルゾーンが生んだ成果であり、運転席・助手席の生存空間を守り抜くというボディ構造の本気度は伝わってくる。加えて最新の電子制御アーキテクチャの投入により、交差点でのサポートや自転車検知といったアクティブセーフティの領域にリソースが集中的に注がれており、「そもそも事故を起こさせない」という開発陣の姿勢がわかる。

とはいえ、テストで示された後席のサブマリニング現象や、むち打ちリスクの高さは看過できない。前面衝突時、後席ダミーの骨盤がシートベルトの下へ滑り込んでしまうこの現象は、シートクッションのアンチサブマリニング構造――つまり沈み込みを防ぐ座面剛性の不足に加え、プリテンショナーの作動タイミングが最新の試験基準に十分噛み合っていないことが一因だろう。前席の頸部保護スコアが伸び悩んでいるのも同様で、疲労軽減を重視した欧州車らしい張りのあるシートバックとヘッドレストの配置が、いざ後面衝突のエネルギーを受け止める場面では裏目に出てしまった格好だ。側面衝突時のエアバッグ展開に見られた不安定さも含め、ハードウェアの細部にはまだ煮詰める余地が残っている。

つまりTiguanは、「最新デバイスで事故そのものを未然に防ぐ」という現代的なアプローチにおいては非常に優秀な一台であり、市街地での対歩行者・対自転車性能は高く評価してよい。ただ、実際に衝突という事態に至った際には、後部座席の保護という点で設計思想の偏りがにじみ出てしまうのも否めない事実だ。こうした客観データが示すボディ構造やシート特性の傾向をきちんと踏まえたうえで、自分の使い方――後席に大人や子供を乗せる頻度はどれくらいか――と照らし合わせて検討することが、安全なクルマ選びの確かな指標になるはずだ。


フォルクスワーゲン Tiguanの主要5大NCAP テスト結果データ

日本基準(NASVA / JNCAP)

総合評価★★★★☆ 85% (166.65 / 193.8点)
衝突安全性能Bランク 82%  (82.68点 / 100点)
予防安全性能Aランク 97%  (83.97点 / 85.8点)
テスト実施年度2025年度

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欧州基準(Euro NCAP)

総合評価★★★★★
成人乗員保護83%
小児乗員保護88%
歩行者保護84%
安全補助装置78%
テスト実施年度2024年

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米国基準(IIHS / NHTSA)

機関名IIHS
総合評価N/A
スモールオーバーラップ(運転席)Good
スモールオーバーラップ(助手席)Good
側面衝突Good
テスト実施年度2025-26モデル

🔗IIHS公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

オーストラリア基準(ANCAP)

総合評価★★★★★
成人乗員保護83%
小児乗員保護88%
テスト実施年度2024年

🔗ANCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

東南アジア基準(ASEAN NCAP)

未実施(テスト待ち)

※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。

メーカー公式ページ

https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/tiguan.html