【スバル レヴォーグ】 客観的データに基づく総合評価
レヴォーグはこんなユーザーにおすすめ
- 【夜間の運転や、街灯の少ない道をよく走るユーザー】:夜間の歩行者に対する被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)テストにおいて、街灯の有無にかかわらずシステムが正確に作動し、満点評価を獲得しています。
- 【駐車場や狭い路地でのペダル操作に不安があるユーザー】:ペダル踏み間違い時加速抑制装置のテストにおいて、前進・後進の双方で障害物を検知して加速を抑え込み、満点を獲得しています。
- 【高速道路を利用して長距離移動を頻繁に行うユーザー】:車線逸脱抑制装置が時速60km・70kmのいずれの条件でも完璧に機能し(満点評価)、万が一の重大事故発生時にはオペレーターに繋がる「自動緊急通報装置(先進型)」も備わっています。
JNCAPの厳しいテストからわかるレヴォーグの「強み」
日本の安全評価基準であるJNCAP(2020年度)において、スバル レヴォーグは自動車安全性能2020の総合評価で最高ランクの「★★★★★5(ファイブスター)」を獲得し、190点満点中186.91点(得点率98%)という極めて優秀な成績を収めました。
最大の強みは、予防安全性能評価(事故を未然に防ぐ機能)において82点満点(得点率100%)を達成している点です。搭載されているステレオカメラ方式のシステムは、前方車両に対する被害軽減ブレーキ試験において、時速10kmから60kmまでのあらゆる速度域で完全に衝突を回避し満点を獲得しました。さらに、日本の交通環境で特に重視される歩行者への対応も非常に秀逸です。昼間の歩行者に対するブレーキ試験で25点満点を獲得しただけでなく、発見が遅れやすい夜間の歩行者に対しても、街灯がある条件・ない条件の双方でシステムが完璧に作動し、満点評価を獲得しています。
また、日本の社会問題となっている駐車場などでの誤操作に関しても、ペダル踏み間違い時加速抑制装置のテストで前進・後進ともに障害物を検知して加速を抑止し、満点(2.0/2点)を記録しました。加えて、高速道路などで車線をはみ出さないように支援する「車線逸脱抑制装置」の試験でも、時速60kmおよび70kmの条件において逸脱量を0.5m以下に抑え込み、16点満点を獲得しています。
衝突安全性能評価(万が一事故が起きた際の乗員保護性能)においても、100点満点中96.91点(得点率96%)と非常に高いレベルを示しています。時速55kmでの側面衝突試験では、運転席ダミー人形にかかる頭部・胸部・腹部・腰部へのダメージスコアがすべて満点でした。追突された際の首への負担(むち打ち)を測る後面衝突頸部保護性能試験でも、運転席・助手席ともに99.1%の高評価を得ています。さらに、車内の乗員だけでなく、歩行者をはねてしまった際の「歩行者保護性能」においても、頭部保護で3.67/4点、脚部保護で3.89/4点(ともに最高レベルの5/5)を獲得しており、車外の安全にも配慮されたボディ構造であることがわかります。万が一の事故発生時に自動でオペレーターに繋がり救命率を高める事故自動緊急通報装置も「先進型」として満点(8/8点)となっており、事故予防から発生後の対応まで死角が極めて少ない設計です。
自動車安全性能2020試験映像:スバル レヴォーグ
出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)
購入前に知っておくべきレヴォーグの「注意点と弱点」
客観的なデータから見ると極めて安全性の高い車ですが、いくつかの衝突テストにおいて、特定の部位への局所的なダメージが記録されている点は知っておくべき事実です。
まず、時速64kmで車体前面の一部を障害物に激突させる「オフセット前面衝突試験」において、後部座席の乗員(ダミー人形)の胸部にかかる負担がわずかに確認されています。このテストでは、後席の胸部変位量(胸がどれくらい圧迫されたか)の評価スコアが、4.00点満点中2.99点にとどまりました。これは、万が一の激しいオフセット衝突が発生した際、後部座席に座っている乗員の胸部にシートベルト等による圧力がやや強くかかる可能性を示しています。
また、時速55kmで車体前面全体を壁に衝突させる「フルラップ前面衝突試験」では、運転席全体の評価自体は99.5%(11.93/12点)と非常に高いものの、詳細なデータを見ると運転席ダミー人形の「左下脛(すね)の軸荷重」の項目でスコアが0.00点(荷重2.42kN)と記録されています。総合的な保護性能を大きく損なうものではありませんが、特定の衝突条件下においては、足元(特に左足のすね付近)に一定の強い衝撃が伝わることがデータとして表れています。
編集長の視点:レヴォーグ
レヴォーグの安全性能を見ていくと、まず目を引くのが予防安全性能における「得点率100%」という数字だ。同クラスのステーションワゴン、トヨタ・カローラツーリングやフォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントと並べてみても、この水準は明らかに頭一つ抜けている。
世界の自動車メーカーがミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせへと収束していく中、スバルは長年、ステレオカメラによる空間認識システム「アイサイト」を頑固に育て続けてきた。夜間の歩行者検知で、街灯の有無にかかわらず満点をとったという結果は、まさにこの意地の産物だろう。2つのカメラで対象物を立体的に捉え、距離を精密に測るという発想が、他社のシステムに対して静かなアドバンテージを築いている――データを見ればそれが読み取れる。
衝突安全性能の高さについても、理由は割とはっきりしている。骨格となる「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」と、ボディをがっちり固める「フルインナーフレーム構造」の組み合わせが効いているはずだ。時速55kmでの側面衝突試験で満点を叩き出したのも、ボディ全体の捻り剛性の高さに加えて、水平対向エンジンならではの低重心レイアウトが衝突時のロール(横転方向の動き)を抑え、キャビンの変形を最小限に食い止めているからだと考えられる。歩行者保護のスコアが伸びているのも同じ理屈で説明がつく。全高が低く、エンジンルーム上部にクラッシュストローク(衝撃吸収スペース)を確保しやすい水平対向エンジンの構造が、歩行者の頭部保護に一役買っているというわけだ。
ただ、テストデータの中には、こうした強みの裏返しとも言える局所的なダメージも記録されている。オフセット前面衝突での後席乗員の胸部負担は、その代表例だ。強固なキャビンが前席の生存空間を守り抜く一方で、ボディ全体が吸収しきれなかったエネルギーが、シートベルトの拘束Gという形で後席側にしわ寄せされた可能性が高い。もう一つ、フルラップ前面衝突における運転席左下脛への衝撃も気になるポイントだ。これは、幅の広い水平対向エンジンを縦置きするというレイアウト上の事情がからんでいる。前面からの強い入力を受けてバルクヘッド(エンジンルームと車室の隔壁)が変形する際、その応力がセンタートンネル横のフットレスト付近に集中しやすい構造になっているようだ。
こうしてデータを一通り眺めてみると、レヴォーグは極めて高いレベルの安全性を確保しながらも、スバル独自のメカニズムに由来する設計思想と、それが生むトレードオフの跡がはっきりと結果に刻まれている。安全技術という視点から見ても、なかなか読み応えのある一台だと言えるだろう。
スバル レヴォーグのJNCAP テスト結果データ
日本基準(NASVA / JNCAP)
| 総合評価 | ★★★★★ 98% (186.91 / 190点) |
| 衝突安全性能 | Aランク 96% (96.91点 / 100点) |
| 予防安全性能 | Aランク 100% (82.00点 / 82点) |
| テスト実施年度 | 2020年度 |
欧州基準(Euro NCAP)
未実施
※第1世代の結果のみ公表。現行国内モデル(第2世代)とはプラットフォーム・仕様が異なるため、直接適用不可。
米国基準(IIHS / NHTSA)
未導入
オーストラリア基準(ANCAP)
未実施
東南アジア基準(ASEAN NCAP)
未実施
※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。
