【ホンダ フィット】客観的データに基づく総合評価

フィットはこんなユーザーにおすすめ

  • 【複雑な交差点や夜間の市街地を頻繁に走るドライバー】:JNCAPの予防安全テストにおいて、昼夜を問わない歩行者検知や、交差点での自動緊急ブレーキ(AEB)が満点評価を獲得しています。
  • 【駐車場が狭小なスーパーなどを日常的に利用するユーザー】:JNCAPのペダル踏み間違い時加速抑制装置のテストで最高評価(Level 5/5)を得ており、前進・後退時の誤操作リスクを効果的に低減しています。
  • 【助手席に人を乗せる機会が多いユーザー】:Euro NCAPで高く評価された「センターエアバッグ」を搭載しており、側面衝突時に運転席と助手席の乗員同士が激突する二次被害を防ぐ保護性能が実証されています。

フィットの各国の厳しいテストからわかる「強み」

2020年モデルのホンダ フィット(欧州仕様名:ジャズ)は、日本のJNCAPおよび欧州のEuro NCAPの双方で最高評価の5つ星を獲得しており、極めて高い安全水準を備えたコンパクトカーです。

特筆すべき最大の強みは、高度な予防安全技術(ADAS)の実装レベルの高さです。JNCAPのテストデータによれば、対車両および対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ(AEB)は、昼夜を問わず満点(Level 5/5)を記録しています。特に、街灯のない暗闇での歩行者検知機能が優秀に作動することが証明されており、見通しの悪い生活道路や夜間の帰宅ルートにおいて、ドライバーの死角を補う強力なサポートとなります。また、日本独自の基準である「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」でも満点評価を得ており、日常的な駐車シーンでの安心感が客観的数値として裏付けられています。さらに「事故自動緊急通報装置」も満点(8/8点)を獲得しています。

加えて、Euro NCAPでは歩行者および自転車に対する保護・検知性能(80%)が高く評価されました。バンパー周りの衝撃吸収性が良好であることに加え、前述の「センターエアバッグ」が側面衝突時に展開し、乗員同士の接触を防ぐ機能が頭部保護に極めて有効であると証明されています。

自動車安全性能2020試験映像:ホンダ フィット

出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)

購入前に知っておくべきフィットの「注意点と弱点」

高い総合スコアを得ている一方で、各テストの細部からは特定の条件下における明確な弱点も浮き彫りになっています。

まず、Euro NCAPのオフセット前面衝突テストにおいて、ドライバーの胸部にかかる衝撃保護が「Weak(弱い)」と判定されています。ダミー人形の胸部圧縮データに基づくこの結果は、重大な事故時に運転者の胸部への負荷が他部位より高まるリスクを示しています。また、前面ガラスの支柱(Aピラー)付近が硬く、歩行者の頭部が衝突した際の保護性能が局所的に「Poor(劣る)」と指摘されています。加えて、後方への後退時における歩行者検知機能(AEB)が未搭載である点や、ドライバーの疲労を検知するモニタリングシステムが無い点も指摘されました。

日本のJNCAPテストにおいても、時速64kmでのオフセット前面衝突時に、後席乗員の胸部変位量や、助手席乗員の左脚(大腿骨)への負荷スコアが満点から落ちており、車内の座席位置によって局所的なダメージリスクに差があることが確認されています。

編集長の視点:フィット

ホンダフィットの安全性能を、同クラスのライバル車であるトヨタ・ヤリスや日産・ノートと比べてみると、このモデルがグローバル市場を見据えたかなり高い安全水準にあることがわかる。特に、ヤリスと同じく側面衝突時の乗員間接触を防ぐ「センターエアバッグ」を、Bセグメントのコンパクトカーでありながら早くから採用している点は特筆に値する。また、昼夜を問わない歩行者検知や、交差点での衝突被害軽減ブレーキで満点評価を得ているのは、ライバル車と比べてもトップクラスの精度であり、システムの中核をなす画像認識技術の成熟度が、そのままスコアに表れていると言っていい。

こうしたテストスコアに見える強みと弱みは、ホンダの設計思想である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」に基づく独自のパッケージングと、かなり密接に結びついている。このモデルは圧倒的なパノラマ視界を確保するために、極めて細いフロントピラー(Aピラー)を採用しており、この視界の良さがドライバーの死角を減らし、高い予防安全性能を下支えしている。ただしその反面、極細のAピラーで強固なキャビン剛性を保つには高張力鋼板などを多用せざるを得ず、それが歩行者頭部の接触時における局所的な硬さ(Poor評価)につながったと考えられる。

また、オフセット前面衝突テストで指摘された運転者や後席乗員の胸部負荷、助手席乗員の大腿部へのダメージリスクについても、コンパクトカーならではの物理的な制約に起因するものだろう。フィットは限られた全長の中で室内空間を極限まで広げているため、フロントノーズ(クラッシャブルゾーン)が相対的に短い。短いストロークで巨大な衝突エネルギーを吸収・分散させなければならない分、乗員を拘束するシートベルトによる胸部への圧迫や、ダッシュボード下部から脚部への局所的な衝撃伝達が、数値として出やすくなっていると考えられる。

総じて、データから見えてくるフィットの本質は、「限られたボディサイズの中で室内空間と視界の最大化を図りつつ、最新の予防安全・衝突安全技術を詰め込んだ」意欲的な設計の結実だと言える。各テストで浮き彫りになった局所的な弱みは、居住性やパッケージングとのトレードオフから生まれた構造的な限界であって、車体全体の安全性が低いことを意味するわけではない。日常域での事故回避能力と、現実的な事故シナリオにおける致命傷の低減という観点で見れば、このモデルはかなり論理的で合理的な安全設計が施された一台だと評価できる。

ホンダ フィットの主要5大NCAP テスト結果データ

日本基準(NASVA / JNCAP)

総合評価★★★★★ 91% (174.40 / 190点)
衝突安全性能Aランク 87%  (87.28点 / 100点)
予防安全性能Aランク 96%  (79.12点 / 82点)
テスト実施年度2020年度

🔗JNCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

欧州基準(Euro NCAP)

総合評価★★★★★
成人乗員保護87%
小児乗員保護83%
歩行者保護80%
安全補助装置76%
テスト実施年度2020年

🔗Euro NCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

米国基準(IIHS / NHTSA)

未導入(テスト対象外)

オーストラリア基準(ANCAP)

未導入(テスト対象外)

東南アジア基準(ASEAN NCAP)

未導入(テスト対象外)

※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。

メーカー公式ページ

https://www.honda.co.jp/Fit