【ホンダ アコード】客観的データに基づく総合評価

日本(JNCAP)、米国(IIHS)、東南アジア(ASEAN NCAP)という、交通環境が異なる3つの機関で行われた客観的なテストデータから、ホンダ・アコードの安全性能を紐解きます。強固なボディ骨格と最新の予防安全システムがもたらす高い安全性が証明されている一方で、特定の条件下における限界や注意点も明らかになっています。

アコードはこんなユーザーにおすすめ

  • 【早朝や夜間に自転車・バイクが多い市街地を走るユーザー】:ASEAN NCAPで高く評価された二輪車巻き込み防止機能(ブラインドスポット検知)や、JNCAPで満点に近い評価を得た自転車の飛び出し対応システムにより、右左折時のすり抜け二輪車との接触リスクを大幅に減らしています。
  • 【休日に家族を後席に乗せて長距離ドライブを楽しむユーザー】:米国の厳しい前面・側面衝突テストにおいて、後席乗員の頭部・胸部・骨盤へのダメージがすべて最小限(最高評価)に抑えられており、大切な同乗者を守るキャビン性能が客観的に証明されています。
  • 【見通しの悪い交差点や狭い路地を日常的に通過するユーザー】:JNCAPの最新テストにおいて、交差点での右直事故(対向車)や横断歩行者に対する自動ブレーキが極めて高い精度で機能することが実証されています。

各国の厳しいテストからわかるアコードの「強み」

ホンダ・アコードの最大の強みは、世界各国の異なる事故シナリオに対応できる広範な「先進予防安全システム(ADAS)」と、強固な基本骨格の組み合わせにあります。

日本国内のJNCAPにおいて、本モデルは最新の「Honda SENSING 360+」を搭載し、満点に近い93%という極めて優秀な総合スコアを獲得しました。特に自転車の飛び出しに対する自動ブレーキや、交差点での右左折時における対向車・歩行者の検知能力において非常に高い評価を得ています。見通しの悪い路地や自転車の急な横断が多い日本の生活道路において、ドライバーの死角を強力にサポートしてくれます。

さらに、東南アジアのASEAN NCAPのテスト結果が、この車のもう一つの強みを表しています。東南アジアはバイクの交通量が非常に多い地域ですが、アコードは二輪車の巻き込み検知機能(ブラインドスポット検知)において満点を獲得しています。日本でも、渋滞中のすり抜けバイクや、左折時に死角に入り込む自転車との接触事故は後を絶ちません。この厳しい基準をクリアしたセンサー性能は、日本の日常使いでも大きな安心材料となります。また、車内に取り残された子どもを検知する子供置き去り検知(CPD)にも対応しており、炎天下の悲惨な事故を防ぐ機能もプラス評価を受けています。

衝突時の車体強度については、米国のIIHS(道路安全保険協会)がその実力を証明しています。電柱や対向車との局所的な衝突を想定した過酷なスモールオーバーラップ衝突において、運転席・助手席ともに最高評価の「Good」を獲得。さらに近年厳格化された新しい側面衝突テストや、後席にダミー人形を乗せた中程度の前面衝突テスト(Moderate overlap updated test)においても、後席乗員の頭部や胸部への負荷が極めて少ないことが確認されています。万が一の重大事故においても、車内の生存空間がしっかりと守られる設計であることが裏付けられています。

自動車安全性能2025試験映像:ホンダ ACCORD

出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)

購入前に知っておくべきアコードの「注意点と弱点」

高い安全性を誇るアコードですが、データからはいくつかの注意点と弱点も読み取ることができます。

第一に、予防安全における夜間の歩行者検知性能の特性です。IIHSのテストによれば、夜間にロービームで走行している際、時速約40km(25mph)を超える速度域になると、歩行者に対する自動ブレーキが十分に減速しきれない(failed to slow)ケースが報告されています。一方でハイビーム使用時は衝突を完全に回避できているため、暗い夜道では車両のオートハイビーム機能を積極的に活用することが安全の鍵となります。

第二に、特定の衝突状況下における乗員への局所的なダメージです。日本のJNCAPによる後面衝突(追突された場合)のテストでは、むち打ちなどを防ぐ頸部(首)保護性能が5段階中の「レベル3(69.1%)」に留まっており、他項目に比べるとややスコアを落としています。また、IIHSの側面衝突テストにおいて、運転席ダミーの骨盤(Pelvis)への負荷が最高評価ではなく「Acceptable(良)」となっているほか、JNCAPの側面衝突でも運転席の肩部や腹部に一定の衝撃が加わることが記録されています。致命傷には至らないものの、真横からの強い衝撃に対しては、乗員の体に一定の負担がかかる特性があることは理解しておくべきでしょう。

さらに、ファミリー層に向けた注意点として、ASEAN NCAPのテストにおいて、特定の前向きチャイルドシート(Joie Stages等)を後席の中央に設置した際、安全上の不適合(FAIL)が発生しています。チャイルドシートを取り付ける際は、左右の窓側座席を利用することが推奨されます。

最後に、ボディタイプの違いによる留意点です。日本国内のJNCAPは、高度なセンサー類をフル装備し、車重が1789kgに達する「e:HEV Honda SENSING 360+(ハイブリッド)」でテストされていますが、米国のIIHSは軽量な1.5Lガソリンモデル(LX/EX等)でテストされています。基本的なボディ剛性は共有しているものの、パワートレインや車両重量の違いによって、実際の衝突時の細かな挙動やダメージ分散に微小な差が生じる可能性がある点は念頭に置いておく必要があります。

編集長の視点:アコード

同じグローバルDセグメントセダンであるトヨタ・カムリやスバル・レガシィと比べると、ホンダ・アコードの安全性能はかなり高い水準、それもトップクラスの領域にあると言っていい。ライバル車もTNGAやSGPといった高剛性な最新プラットフォームを備え、各国の衝突テストで最高評価を獲得する常連ではあるが、最新のアコードは「Honda SENSING 360+」による全方位の広角センサーネットワークを構築している点が際立っている。二輪車の巻き込み検知や、交差点での右直事故回避といった「複雑な市街地環境での予防安全」においては、ライバルに対して一歩先を行くアドバンテージを見せている。

前面衝突やスモールオーバーラップ衝突テストでの優秀なスコアは、ホンダ独自の衝突安全設計である「ACE(Advanced Compatibility Engineering)ボディ」の真骨頂と言える。この設計思想は、衝突エネルギーをエンジンルーム内の複数の経路に分散させて吸収するマルチロードパス構造を基本としている。相手車両の大きさや重量にかかわらず、衝撃を骨格全体でうまく逃がし、キャビン(生存空間)の変形を最小限に抑えるというメーカーの安全哲学が、データとしてそのまま裏付けられた結果だろう。

一方で、側面衝突での骨盤への負荷(IIHS)や、後面衝突での頸部保護スコア(JNCAP)が伸び悩んでいる点には、セダンならではのパッケージングとシート設計の思想が影響していると考えられる。近年厳しくなったIIHSの側面衝突テストは、重量が増した大型SUVが高い位置から衝突してくる状況を想定している。低重心で着座位置も低いセダンは、構造上、衝撃の入力点が乗員の身体、特に腰回りに近くなりやすく、物理的に不利が出やすい。またむち打ち評価でのスコアダウンは、シートバック全体のしなりで衝撃を吸収するのか、ヘッドレストで早めに頭部を拘束するのかという、衝突時の乗員保護に対するシートフレームのチューニング思想の違いが表れた結果だろう。

総じて、テストデータから見えてくるアコードの姿は、高度に計算された物理的な骨格と、最新の電子デバイスを統合した、かなり信頼性の高い車だということだ。データに見られる側面衝突時の局所的な負荷や、夜間の歩行者検知における限界は、車の致命的な欠陥というより、物理的な制約やシステムの特性に由来するものだ。ドライバーがこうした特性を正しく理解し、オートハイビームを積極的に活用するなど適切に運用すれば、このモデルが持つ最高水準の安全性能を、余すところなく引き出せるはずだ。

ホンダ アコードの主要5大NCAP テスト結果データ

日本基準(NASVA / JNCAP)

総合評価★★★★★ 93% (182.01 / 193.8点)
衝突安全性能Bランク 88%  (88.71点 / 100点)
予防安全性能Aランク 99%  (85.30点 / 85.8点)
テスト実施年度2025年度

🔗JNCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

欧州基準(Euro NCAP)

未実施(テスト待ち)

米国基準(IIHS / NHTSA)

機関名IIHS
総合評価Top Safety Pick+
スモールオーバーラップ(運転席)Good
スモールオーバーラップ(助手席)Good
側面衝突Good (Updated test)
テスト実施年度 2023年 (Rating applies to 2023-26 models)

🔗IIHS公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

オーストラリア基準(ANCAP)

未実施(テスト待ち)

東南アジア基準(ASEAN NCAP)

総合評価★★★★★
成人乗員保護30.90 / 32.00点
小児乗員保護45.25 / 51.00点
二輪車安全性(Motorcyclist Safety)14.00 / 16.00点
テスト実施年度2024年

🔗ASEAN NCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。

メーカー公式ページ

https://www.honda.co.jp/ACCORD