【ダイハツ タフト】客観的データに基づく総合評価

ダイハツ タフトは、日本の安全性能基準(JNCAP)において、総合評価「星4つ(★★★★)」、全体の85%という高いスコアを獲得しました。特に注目すべきは、事故を未然に防ぐための「予防安全性能」が95%(ランクA)と極めて優秀である点です。一方で、万が一の事故の際の「衝突安全性能」は83%(ランクB)にとどまっており、得意な分野と注意すべき分野がデータから明確に読み取れます。

日本のJNCAPでは、日常的な運転トラブルを想定した日本独自の厳しいテスト項目が用意されています。タフトは、日本で発生しやすい「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」のテストにおいて、前進・後進ともに障害物を検知して見事に満点を獲得しました。さらに、夜間の歩行者検知や車線逸脱を防ぐ機能など、日々の運転をサポートする機能群が高く評価されています。

しかし、実際の衝突時における乗員保護のデータを見ると、前席(運転席・助手席)の保護性能が高い反面、一部の衝突条件における後席乗員へのダメージが懸念される結果も出ています。また、事故発生時に自動で外部へ連絡するシステムが搭載されていない点も、総合スコアが満点に届かなかった要因となっています。

これらのデータから、タフトは「事故を起こさないための電子制御サポート」には非常に優れているものの、「事故が起きてしまった後の物理的な乗員保護」には一部注意すべき点がある車だと言えます。

タフトはこんなユーザーにおすすめ

  • 【狭い駐車場を毎日利用し、前後の切り返しが多いユーザー】:前進・後進の両方において、1.0m先の障害物に対する「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」が満点評価(2.0/2点)で作動し、誤操作による事故リスクを的確に低減します。
  • 【街灯の少ない郊外の道路を夕方〜夜間によく走るユーザー】:難易度の高い「夜間(街灯なし)の歩行者検知」テストにおいて、高機能前照灯(自動防眩型)の満点評価と組み合わさり、高水準(51.6/55点)で被害軽減ブレーキが機能します。
  • 【単独での通勤や買い物など、主に運転席・助手席のみを日常使いするユーザー】:正面衝突テストにおいて前席の保護性能が高い(88.5%)一方で、後席にはデータ上の明確な弱点が見られるため、前席メインでの使用に最も適しています。

JNCAPの厳しいテストからわかるタフトの「強み」

タフトの最大の強みは、95%という圧倒的なスコアを叩き出した「予防安全性能」にあります。
対車両の自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)テストでは、時速10kmから60kmの全速度域において完璧に衝突を回避し、33点満点を獲得しました。これは、一般道のストップ&ゴーや、バイパス道路での前の車の急ブレーキに対して、システムが極めて高い精度でドライバーをアシストしてくれることを意味します。

また、日本の交通環境に特化したJNCAPならではの項目において高い実力を発揮しています。前方の車線からはみ出さないように支援する「車線逸脱抑制装置」や、後方の視界を確保する「後方視界情報提供装置」、そして夜間の視界をサポートする「高機能前照灯(自動防眩型)」がすべて満点評価でした。
歩行者に対する自動ブレーキテストでも、昼間だけでなく夜間の飛び出しに対して高い回避能力を示しており、見通しの悪い交差点や、自転車・歩行者が混在する日本の狭い生活道路において、非常に頼もしい性能を備えていることが実証されています。

自動車安全性能2020試験映像:ダイハツ タフト

出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)

購入前に知っておくべきタフトの「注意点と弱点」

予防安全が優秀な反面、購入者が知っておくべき明確な「データ上の事実」がいくつか存在します。

最大の注意点は、時速64kmで車両の片側をぶつける「オフセット前面衝突試験」における後席の乗員保護性能の低下です。JNCAPの公式資料には特記事項として、「後席ダミーのシートベルトが衝突の影響により、肩から上腕部付近に移動したことで、胸部傷害値(胸部変位量)が大きくなったおそれがある」と明記されています。この影響により、後席の評価は69.6%にとどまっており、後席に人を乗せて高速道路などを走る際には、この特性を理解しておく必要があります。

また、「事故自動緊急通報装置(SOSコール)」が装備されていない(0点)ため、万が一重大な事故が起きた際は、自力で消防や警察へ連絡する必要があります。
さらに、歩行者に対する自動ブレーキにおいて、時速40km〜45kmの速度域で「子供のダミー人形の飛び出し」や「街灯のない夜間の歩行者」といった特定の厳しい条件下では、システムは作動するものの完全な「衝突回避」には至らず、「速度軽減(衝突時のダメージ軽減)」にとどまる結果が記録されています。システムを過信せず、ドライバーの目視による安全確認が必須です。

編集長の視点:タフト

タフトの安全性能を、同じ軽クロスオーバーSUVであるスズキ「ハスラー」と比べてみると、メーカーの安全に対するアプローチの違いがくっきり見えてくる。JNCAPの総合評価では、ハスラーが最高ランクの「星5つ」を獲得しているのに対し、タフトは「星4つ」にとどまっている。ただ、予防安全性能のスコアだけに絞って見れば、タフトはハスラーと遜色のない、テスト環境によってはそれを上回るほどのトップクラスの制御精度を誇っている。特にステレオカメラを用いた空間認識や、ペダル踏み間違い時の加速抑制技術においては、軽自動車という規格の枠を超えたかなり高い水準にあることが、データからも裏付けられている。

一方、オフセット衝突時に後席乗員の保護性能が落ちる点は、タフト特有のパッケージングと骨格構造に起因する、いくつかの要因が絡み合った結果だと考えられる。タフトは大型ガラスルーフ「スカイフィールトップ」を全車標準装備するという、独自のパッケージングを採っている。ルーフの大型開口部と重量増は、ボディ全体の剛性バランスや重心に影響を与えるものの、ダイハツの「DNGA」プラットフォームはフロント構造の衝撃吸収効率を高めることで、前席の安全性は見事に担保している。ただ、時速64kmという過酷なオフセット衝突で入ってきた強大なエネルギーが車体後方へ伝わっていく過程で、フロアやピラーの変形モードが、後席のシートベルトの挙動や乗員の姿勢変化に影響を及ぼした可能性が高い。

これらのテスト結果全体から見えてくるのは、「事故を未然に防ぐこと(アクティブセーフティ)」に開発リソースを優先的に投じるという、ダイハツの合理的な設計思想だ。物理的なクラッシャブルゾーンが厳しく制限され、重量増がそのまま燃費や運動性能に響いてくる軽自動車において、全方位の衝突安全性を極限まで高めるのは、技術的なハードルがかなり高い。SOSコールが未採用である点や、後席の保護性能という課題は残るものの、日常使いにおける事故発生リスクそのものを最新の電子制御で徹底的に排除しようとするアプローチは、今の交通環境に照らせばかなり理にかなっている。データが示す強みと弱みを正しく把握し、前席メインでの運用を前提とするなら、タフトはかなり信頼性の高いモビリティだと評価できる。


ダイハツ タフトのJNCAP テスト結果データ

日本基準(NASVA / JNCAP)

総合評価★★★★☆ 85% (161.68 / 190点)
衝突安全性能Bランク 83%  (83.18点 / 100点)
予防安全性能Aランク 95%  (78.50点 / 82点)
総合評価2020年度

🔗JNCAP公式評価ページ(詳細ページ)はこちら

※注:本車種は日本国内専用モデルのため、Euro NCAP(欧州)やIIHS(米国)などの海外機関での衝突試験は実施されていません。
※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。

メーカー公式ページ

https://www.daihatsu.co.jp/lineup/taft