【トヨタ アクア】客観的データに基づく総合評価
アクアはこんなユーザーにおすすめ
- 【夜間の生活道路をよく走るユーザー】:街灯のない暗い夜道でも歩行者を正確に検知し、自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)が満点評価で機能します。
- 【駐車場やスーパーの狭いスペースでの取り回しが多いユーザー】:ペダル踏み間違い時の加速抑制装置や、後方視界情報提供装置(バックカメラなど)が満点評価を獲得しており、低速時のうっかりミスをシステムがしっかりカバーしてくれるます。
- 【長距離の高速道路やバイパスを利用するユーザー】:車線逸脱抑制装置が満点評価となっており、時速60km〜70kmでの走行時に、車線のはみ出しを確実に警告・抑制してくれます。
JNCAPの厳しいテストからわかるアクアの「強み」
トヨタ アクアの安全性能における最大の武器は、極めて高精度に調整された「予防安全性能」にあります。JNCAP(日本基準)のテストにおいて、予防安全性能評価で79.12/82点(得点率96%)という圧倒的なスコアを記録しており、日常的な運転シーンで発生しがちなニアミスを、車側の先進システムが能動的にカバーしてくれる堅牢な設計であることが証明されています。
具体的にデータの裏付けとして注目したいのが、被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)のテスト結果です。前方を走る車両に対する追突回避テストでは、時速10kmの低速から時速60kmの比較的高い速度域まで、あらゆる条件で衝突を回避し、満点(33.0/33点)を獲得しています。これにより、日本の一般道で頻発する渋滞中の追突リスクを大幅に下げることができます。さらに特筆すべきは、交差点や横断歩道で重要となる対歩行者の被害軽減ブレーキ性能です。昼間のテストで満点(25.0/25点)を達成しているだけでなく、最も事故のリスクが高まる夜間のテストにおいても驚異的な検知能力を発揮しています。「街灯あり」の条件下で満点(20.0/20点)、「街灯なし」の極めて暗い真っ暗な条件下でも満点(7.50/7.50点)を獲得しており、これは夜間に塾帰りの子供を迎えに行く送迎路や、見通しの悪い郊外の道路を走行する機会が多いドライバーにとって、何より心強い機能となります。
また、日本特有の交通事情として社会問題化している「駐車場でのペダル踏み間違い」への対策も非常に優秀です。ペダル踏み間違い時加速抑制装置のテストでは、前方・後方ともに満点(2.0/2点)の評価を受けています。後方視界情報提供装置(バックカメラの表示エリアや視認性の確認)のテストでも満点(6.0/6点)を得ており、スーパーやショッピングモールの狭い駐車場での切り返しなど、低速域における死角のカバーと誤操作防止が完璧に連動しています。
加えて、週末のレジャーや帰省で利用する高速道路やバイパスでの安全性も高く評価されています。車線逸脱抑制装置(車線はみ出し防止機能)の性能試験では、時速60kmおよび70kmでの走行において、車線からの逸脱を的確に防ぎ満点(16.0/16点)を獲得しました。長時間の単調な運転による疲労からくるふらつきや、一瞬の気の緩みによる車線逸脱のリスクを最小限に抑え、元の車道に引き戻してくれる機能がしっかりと備わっています。さらに、万が一の事故発生時に速やかにコールセンターへ繋がり救助を要請できる「事故自動緊急通報装置」も先進型が搭載されており、こちらの評価も満点(8.0/8点)を獲得しています。
自動車安全性能2021試験映像:トヨタ アクア
出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)
購入前に知っておくべきアクアの「注意点と弱点」
予防安全機能ではほぼ完璧と言えるスコアを叩き出しているアクアですが、万が一衝突してしまった際の乗員保護性能(衝突安全性能評価:86.67/100点、得点率86%)に関しては、客観的なテストデータから読み取れるいくつかの明確な弱点と注意点が存在します。
最も留意しておくべきポイントは、特定の激しい衝突条件において「運転席のドライバーの身体(特に胸部と右脚)に大きな負担がかかること」です。時速64kmで車体前方の運転席側の一部だけを障害物に激突させる「オフセット前面衝突試験」のデータを見ると、後席のダミー人形(乗員)は満点(12.00/12点)でしっかりと守られているのに対し、運転席の評価は9.60/12点とスコアを落としています。テスト後の詳細な数値を分析すると、衝突の衝撃でドライバーの胸上部がステアリング(ハンドル)と二次的に接触を起こしていることが確認されており、この項目で減点(2.55/4.00点)されています。また、同じくオフセット衝突時において、運転席の右脚(右下脛骨)にかかる軸荷重が基準よりも大きく、評価が0.80/4.00点と大幅に低下している点も見逃せません。さらに、時速55kmで壁に真正面から衝突する「フルラップ前面衝突試験」においても、運転席側の右脚(右下脛骨荷重指数)の評価が低下(2.00/4.00点)しています。これらのデータは、車体フロント部分が大きく潰れるような深刻な事故の際、ドライバーの右膝下から胸部にかけて比較的ダメージが集中しやすい傾向があるという事実を示しています。
また、予防安全性能のなかでも唯一スコアが伸び悩んでいる項目があります。それが夜間の視界をサポートする「高機能前照灯装備確認」のテストであり、5点満点中1.4点にとどまっています。これは、対向車や先行車をカメラで検知してヘッドライトの照射範囲を細かく・部分的に遮光する高度な「自動防眩型前照灯(アダプティブハイビーム)」がアクアには装備されておらず、単にハイビームとロービームを自動でパッと切り替えるだけの「自動切替型前照灯(オートマチックハイビーム)」のみの搭載となっているためです。自動ブレーキの夜間検知性能自体は先述の通り極めて優秀ですが、ドライバー自身の肉眼での視界を常に最大限広く確保し続けるための照明システムという点においては、より上位の技術を採用している他車種に比べると少し物足りなさを感じる部分と言えます。
編集長の視点:アクア
同じBセグメント・コンパクトカーであるホンダ「フィット」や日産「ノート」と比べてみると、アクアの予防安全性能は間違いなくクラストップレベルにある。各社ともHonda SENSINGや360°セーフティアシストといった独自の先進安全技術を投入ししのぎを削っているが、JNCAPのデータが示す通り、かなり過酷な条件である「街灯のない夜間の歩行者検知」で満点を獲得している点は特筆に値する。一方、衝突安全性能のテストデータについては、各メーカーのパッケージングや骨格構造へのアプローチの違いが、スコアにはっきり表れている。
アクアのテストデータに見える「予防安全の圧倒的なスコア」と「オフセット衝突等での運転席側の局所的な負担増」は、ハイブリッド専用コンパクトカーならではの構造的な制約と、メーカーの明確な設計思想の両方に起因していると考えられる。アクアが採用するTNGAのGA-Bプラットフォームは高いボディ剛性を誇るものの、優れた燃費性能と取り回しの良さを両立させるためにフロントノーズが短く設計されており、エンジンルーム内にはハイブリッドユニットなどの機構がかなり高密度に詰め込まれている。そのため、中・大型車に比べると、前面衝突時に衝撃を吸収するための物理的なクラッシャブルゾーン(潰れしろ)が限られているのは、いわば構造的な宿命だ。
フルラップやオフセット前面衝突試験で、ドライバーの胸部や右脚(右下脛骨)に負担が集中しやすいというデータは、この限られたスペースで強大な運動エネルギーを受け止める際、衝撃の分散経路がダッシュパネルからフロアやステアリングコラムへ波及しやすい特性を物語っている。特に右前輪側から激しい入力があった際には、右側のペダル付近のフロアパネルの変形や、キャビン(客室)自体の潰れを防ごうと強固な骨格で衝撃を受け止めた反作用が、乗員の局所的な軸荷重や二次的な接触として計測されたのだろう。
ただ、こうしたコンパクトカーならではの物理的なサイズの限界を補っているのが、ほかならぬ高度な予防安全技術だ。アクアの安全設計思想は、衝突時の物理的な装甲に過剰なコストや重量を割くのではなく、「どんな環境下でも事故そのものを未然に回避する」というアクティブセーフティの領域に開発リソースを集中させる、かなり合理的なアプローチを採っている。客観的なテストデータに基づくなら、アクアはBセグメントという制約の中で「予防」に最大限の比重を置き、日常のリアルワールドで重大事故が起きるリスクを最小化することを第一に考えた、論理的な安全哲学を体現した一台だと評価できる。
トヨタ アクアのJNCAP テスト結果データ
日本基準(NASVA / JNCAP)
| 総合評価 | ★★★★★ 91% (173.79 / 190点) |
| 衝突安全性能 | Aランク 86% (86.67点 / 100点) |
| 予防安全性能 | Aランク 96% (79.12点 / 82点) |
| テスト実施年度 | 2021年度 |
※注:本車種は日本国内専用モデルのため、Euro NCAP(欧州)やIIHS(米国)などの海外機関での衝突試験は実施されていません。
※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。
