【スズキ ソリオ / ソリオ バンディット】客観的データに基づく総合評価
ソリオ / ソリオ バンディットはこんなユーザーにおすすめ
- 【塾帰りなど暗い夜道での送迎を頻繁に行うユーザー】:被害軽減ブレーキの夜間歩行者テストにおいて、54.4/55点(最高レベル5)という極めて高いスコアを記録しています。
- 【狭いスーパーの駐車場などで切り返しを多用するユーザー】:後方視界情報提供装置が満点(6.0/6点)であり、さらに後進時のペダル踏み間違い時加速抑制テストでも最高評価(速度低減率1.0で満点)を獲得しています。
- 【主に運転席と助手席しか使わず、市街地走行がメインのユーザー】:フルラップ前面衝突における助手席の保護性能が非常に高く(95.7%・レベル5)、側面衝突でも運転席が満点(12.00/12点)である一方、後席の保護性能には一部課題が残っています。
JNCAPの厳しいテストからわかるソリオ / ソリオ バンディットの「強み」
スズキ ソリオ / ソリオ バンディット HYBRID MVのJNCAPにおける最大の強みは、日常の市街地走行における事故を未然に防ぐ「予防安全性能」の高さです。予防安全性能評価では87%を獲得し、特に被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)のテストにおいて極めて優秀な数値を叩き出しています。
まず、前方を走る車両に対する「対車両」の被害軽減ブレーキ試験では、33.0/33点の満点(レベル5)を獲得しました。10km/hから60km/hまでのすべての速度域のテストで衝突を回避しており、日本の一般道における渋滞時の追突リスクを大幅に低減する能力が証明されています。
さらに、日本の狭い道路事情において極めて重要視される「対歩行者」の検知能力も際立っています。昼間の歩行者飛び出しテストでは22.5/25点(レベル5)、さらに難易度の高い夜間(街灯あり・街灯なし)の歩行者テストでは54.4/55点(レベル5)というハイスコアを記録しました。ステレオカメラを用いたセンサーが、視界の悪い夜間でも歩行者を正確に認識し、衝突を回避または速度を効果的に低減できることが客観的データとして示されています。
また、駐車場などでのトラブルを防ぐための機能も充実しています。ペダル踏み間違い時加速抑制装置のテストでは、特に後進(バック)時において速度変化率1.0を記録し満点を獲得しました。超音波センサーによる後方検知が確実に機能しています。合わせて、後方視界情報提供装置(バックカメラ等)のテストでも6.0/6点の満点を得ており、近接・近傍・遠方のすべてのエリアで視対象物をモニター上に明確に表示できることが確認されています。狭いスーパーの駐車場での切り返しや、見通しの悪い自宅ガレージからの出庫時において、これらのデータはドライバーにとって非常に心強い裏付けとなります。
衝突安全性能の面では、側面衝突試験において運転席が12.00/12点(100%・レベル5)の満点評価を獲得しています。ドアの開扉性も確保されており、衝突後の救出にも支障がないことが確認されています。また、追突された際の首へのダメージを評価する後面衝突頸部保護性能試験でも、運転席・助手席ともに11.05/12点(92.1%・レベル5)を記録し、むち打ち等のリスクを最小限に抑えるシート設計がなされていることがデータから読み取れます。
自動車安全性能2021試験映像:スズキ ソリオ バンディット
出典:ナスバ((独)自動車事故対策機構)
購入前に知っておくべきソリオ / ソリオ バンディットの「注意点と弱点」
一方で、JNCAPの厳しい基準に照らし合わせると、いくつかの明確な弱点も浮き彫りになっています。ソリオ バンディットの衝突安全性能評価および予防安全性能評価がともに「ランクB」、自動車安全性能2021の総合評価が★★★★4(78%)にとどまった理由は、以下の項目に集約されます。
最も注意すべき点は、オフセット前面衝突試験における後席乗員への保護性能です。時速64kmで車体前部の一部(運転席側)をバリアに衝突させるこのテストにおいて、後席(助手席側)に座らせたダミー人形の胸部変位量が46.20mmに達しました。これにより、後席の胸部保護性能の点数が0.00点となり、後席全体の乗員保護スコアが8.02/12点(66.9%・レベル3)にまで低下しています。頭部への2次衝突などは防がれていますが、高速道路等での重大な前面衝突事故が発生した場合、後部座席に座る乗員の胸部へ強い衝撃が加わるリスクがあることは、購入前に必ず理解しておくべき事実です。
また、フルラップ前面衝突試験(時速55kmで壁に真正面から衝突)においては、運転席の右下腿骨(ひざ下)への荷重指数がやや高く、下肢部の評価がレベル3にとどまっています(運転席トータルで8.43/12点・70.3%)。助手席が11.48/12点(95.7%)でレベル5を獲得しているのとは対照的な結果となっており、運転席足元の衝撃吸収性に一部課題が見られます。
予防安全性能における大きなマイナスポイントは、車線逸脱抑制装置の支援機能が不足している点です。テスト結果を見ると、車線をはみ出しそうになった際に警報を鳴らす「LDWS(車線逸脱警報)」は機能していますが、ステアリングを自動で操作して車線内に引き戻す「LDP/LKA(車線逸脱抑制・車線維持支援機能)」が「機能なし」と判定されています。これにより、この項目のスコアが8.0/16点(レベル3)にとどまりました。長距離の高速道路走行において、ドライバーの疲労軽減やうっかり時の物理的なアシストを期待するユーザーにとっては物足りない仕様と言えます。
さらに、夜間の視認性を高める高機能前照灯については、対向車を検知して自動でハイ/ローを切り替える「自動切替型」は装備されているものの、より高度に照射範囲を制御する「自動防眩型(アダプティブハイビーム)」は未装備であり、1.4/5点(レベル4)の評価となっています。加えて、事故発生時に自動でオペレーターに接続し救助を要請する事故自動緊急通報装置(SOSコール等)が「装備なし」となっており、万が一の事態における緊急対応システムが省かれている点も、総合スコアが伸び悩んだ要因の一つです。
編集長の視点:ソリオ/ソリオ バンディット
国内のコンパクトトールワゴン市場で直接的な競合となるトヨタ・ルーミー(ダイハツ・トール)などと比べると、ソリオの予防安全性能、とりわけ「夜間歩行者検知」の精度は、同クラスの中でもトップレベルの水準にある。スズキが採用するステレオカメラ方式(デュアルカメラブレーキサポート)は、人間の目と同じように三角測量の原理を使って、視界条件の悪い環境でも対象物との距離や形状を立体的に捉えることに長けている。このセンサー特性と解析アルゴリズムの最適化が、JNCAPの夜間歩行者テストで極めて高いスコア(54.4/55点)を記録していることに、そのままつながっていると見ていい。
一方で、オフセット前面衝突試験で後席乗員の胸部ダメージが課題になった点は、このセグメントならではのパッケージングに起因する物理的な制約が大きいと考えられる。全幅を1,625mmに抑えながら広い室内空間を確保するために、ソリオは極端に短いフロントノーズ(エンジンルーム)を採用している。スズキの軽量衝撃吸収ボディ「TECT」と新世代プラットフォーム「HEARTECT」の組み合わせは、側面衝突などでは高いキャビン変形抑制効果を発揮するものの、前面衝突ではクラッシャブルゾーンの絶対的な短さゆえに、前部だけで衝撃エネルギーを吸収しきれず、車体全体に急激な減速度(G)が発生しやすい。その結果、慣性で前方へ投げ出されようとする後席乗員をシートベルトが強く拘束することになり、それが胸部への局所的な荷重集中を招いたと考えられる。
また、ステアリング制御を伴う車線維持支援機能(LKA)や事故自動緊急通報装置が備わっていないというテスト結果からは、スズキの設計思想がかなりはっきり読み取れる。限られたコストと車両価格の中で、高速道路での長距離クルージング性能よりも、市街地における「対歩行者の事故回避」や「駐車場での接触防止」に開発リソースを集中させているわけだ。こうしたデータから導き出せる結論としては、ソリオは後席に人を乗せた状態での頻繁な高速走行にはやや構造上の留意が必要なものの、日常的な街乗りや送迎という本来の使われ方においては、かなり合理的に安全性が担保された一台だと評価できる。
スズキ ソリオ / ソリオ バンディットのJNCAP テスト結果データ
日本基準(NASVA / JNCAP)
| 総合評価 | ★★★★☆ 78% (149.84 / 190点) |
| 衝突安全性能 | Bランク 78% (78.31点 / 100点) |
| 予防安全性能 | Bランク 87% (71.53点 / 82点) |
| テスト実施年度 | 2021年度 |
※注:本車種は日本国内専用モデルのため、Euro NCAP(欧州)やIIHS(米国)などの海外機関での衝突試験は実施されていません。
※注:評価データおよび考察はNCAP試験当時のものです。安全装備の性能は随時アップデートされるため、最新情報は必ずメーカー公式サイトにてご確認ください。
